モルモットが必要とする栄養
モルモットは完全な草食動物なので、与える食餌は牧草、野菜、種子、果物やペレットが適しています。
原種は山岳地帯において野草の茎や根っこや樹皮などを食べていました。
モルモットが必要とする栄養としては、繊維質、炭水化物、脂肪、タンパク質、灰分、ビタミンC、カリウム、マグネシウムなどがあります。
その中で、ビタミンCはモルモットの体内で生成することができないため食餌によって補います。
ビタミンCはペレットと牧草をメインに、野菜や果物を補助としてバランスよく摂取させるようにしましょう。
パセリはビタミンCが豊富です。その他にブロッコリー(ただしブロッコリーの茎にはビタミンCは含まれておりません)、カリフラワー、キャベツ、タンポポの葉、オレンジ、ナズナ、青ピーマンなどがあげられます。
注意
※レタスが好きなモルの仔は多いですが、レタスは量の割には栄養が少なく水分が多いので、与えすぎないように注意が必要です
※ご飯やお菓子など人間の食べ物は調味料などで味付けしてあり添加物も含まれているので与えないようにしましょう
ペレットの必要性
上の項でも記載しましたがモルモットは体内でビタミンCを生成することができません。モルモットにとってビタミンCはなくてはならない必須の栄養素です。よってビタミンCを含んだ食餌により摂取し補います。
モルモットが一日に必要なビタミンCの量は生後1ヶ月ぐらいまでは体重100gあたり0.5mgそれ以降は6~10mg、妊娠中は20~30mgが必要となりますが、過剰に摂取させるのはやめましょう。
ただし、モルモットの餌でもビタミンCの含有量が少ないものがありますし、保管状態によっては、ビタミンCが減っていることがあります。もし十分なビタミンCを含む食べ物が摂取できていない場合には、市販のビタミンCの錠剤を粉砕して飲水に溶かすとよいでしょう。
あくまでもモルモットの主食は牧草や野菜であり、ペレットはその補助食となります。メーカーによってはビタミンCの入ってないものもありますので成分をみてビタミンCの入っているものを選ぶことをおすすめします。
ペレットの選び方としては、まずはモルモットが好きなメーカーの商品を選ぶことです。モルモットは何でも食べるのですが、いっちょ前に好き嫌いがあります。
そして成分としては、モルモットは盲腸が大きくて繊維の消化率が高いためペレットに含む繊維が18%以上が好ましいですね。また、必須のビタミンCを含んでおりミネラルも含有しているペレットが良いです。
上記の牧草とペレットのほかに果物や新鮮な野菜をおやつとして与えてあげるとよいです。
ペレットと一緒に野菜とフルーツがミックスされたものや、ドライフルーツなどが売っていますのでペレットと合わせてあたえてあげるとよいでしょう。
注意したいのはペレットやドライフルーツを与えすぎると栄養価が高く脂肪などの過剰摂取になりモルモットが太ることがあります。飼い主さんによってはドライフルーツを与えない方もいます。
この辺りの加減はモルの体重や食べっぷりや糞などをよく観察して飼い主さんが調整してください。
ペレットを変えるときは
先にも記載しましたがモルはいっちょ前に好き嫌いがあります。モルモットの性質として臆病で神経質なため、周囲の環境の変化に敏感であり、同様にペレットの変化にも敏感です。
なのでペレットをいきなり違うメーカまたは種類に換えてしまうと食べなくなることがあります。
ペレットの変え方
ペレットを新しいものにかえるときは、今まで食べていたものに少しずつ混ぜながら与えます。
最初は今まで与えていたペレットの20%~25%くらいを新しいペレットにして慣れさせます。
そして徐々に新しいペレットの割合を数日ごとに段階的に増やしていきます。増やす割合や慣れるまでの日数は様子を見て加減してください。
最終的には新しいペレットが100%となりペレット換えの成功です。
ただし、モルの個体によっては(希ですが)食べ物に関しては無頓着というか、何でも食べる仔もいます。この仔はいきなり新しいペレットに変えても気にせず食べます。
逆に美食家というか、グルメさんのモルもいます。少しペレットが古くなったり鮮度が落ちたらプイッとそっぽを向いて嫌がる仔もいますので。。。
※ペレットには原料となる牧草成分にアルファルファとチモシー(後述参照)をベースにした2種類があります。原料の牧草成分が異なるペレットに換える場合で、アルファルファからチモシーに換えるのはモルがなかなか慣れなくて時間がかかる事があります。
牧草の必要性
モルモットの原種は野草の茎や根っこや樹皮などを食べていました。その当時にはペレットはありませんでした。
現代のペットとしてのモルは飼い主が牧草のほかにペレットや野菜や果物を与えてくれます。
しかしながら、あくまでもモルモットの主食は牧草です。
これにはいくつかの必要性があります。
主食は牧草です
- □咀嚼することで歯の伸びすぎを防ぐ
- □同様に咀嚼することで歯が痒いのを解消する
- □ストレス解消
- □繊維質の摂取により腸内細菌を正常な状態に維持する
- □飲み込んでしまった毛を排出させる
- □栄養価が低いため(ペレットや果物に比べて)太りにくい
などです。
牧草にはアルファルファとチモシーの2種類があります。
アルファルファ
マメ科の植物で大豆の2~4倍のタンパク質を含みカリウムが豊富です。ビタミンAも豊富であり、さらにトウモロコシやニンジンの4~60倍のカロチンを含んでいます。
タンパク質が多く含まれているため成長期や妊娠中や、授乳期、産後には多めに与えた方がよいでしょう。
たあだし、成長期を過ぎたらアルファルファは控えた方がよいです。アルファルファを与え続けると肥満の原因になり、さらに腸内醗酵により消化管内にガスが発生しやすいため、鼓腸症になる恐れがあります。
チモシー
イネ科の植物で低タンパク、低カルシウムなので、成長期を過ぎたモルに良いです。
アルファルファより蛋白質の含有量が低いので、肥満防止や、老モルに最適です。
モルモットの消化器官はデリケートなので、古く硬くなった牧草はモルモットの柔らかい口の中や胃の粘膜や消化器官を傷つけてしまう恐れがあるため、柔らかく新鮮な牧草を与えるようにしましょう。
牧草はロングタイプとショートタイプに分けることができます。
モルモットの個体にもよりますが、モルの好みや床の作り方、牧草の与え方などでどちらが最適か違います。色々試してみてるとよいでしょう。
我が家ではケージの床にチップを置いているためショートのものだと、チップと混ざってしい、食べた量もわからないのでロングを与えています。ショートの時と比べると食べる量もわかり、モルが気に入っているようで良く食べてくれます。
一つ気をつけたいのは、モルは牧草の中に潜るのが好きです。顔中を牧草だらけにして喜んでいます。このとき堅くて長い牧草や、茎が折れ曲がった牧草は誤って目に入ると怪我をする恐れがあるので短く切るか取り除くなどすると安心です。
牧草は沢山食べるので多めに入れてあげるとよいでしょう。
食べ物の与え方
モルモットは体の割に多くの量を食べます。1日あたりのエサの量は成長期のモルで体重の8%、大人は6%が目安と言われています。
そして、モルモットは沢山のエサが目の前にあっても自分で適量と思ったら食べ過ぎることはないので自由菜食させて構いません。主食は牧草なので、一日中いつでも牧草は食べられるようにして下さい。
エサを与えるタイミングはペレットは朝・夜の2回で、その間に野菜や果物を与えるとよいでしょう。
なるだけ毎日同じ時間に与えるようにするのがモルにとって安心できます。
朝と夜にエサをあげるタイミングで食べ残しの野菜は捨てて下さい。
夜は、モルモットの習性で夜活動するため、少し多めに与えると良いです。多めにあげて、残しているのであれば、量を減らしてあげましょう。
ペレットにはモルの必須栄養素のビタミンCが含まれており、空気に触れたり熱によって破壊されてしまいます。なので、ペレットは常に新鮮なものに変えてあげましょう。
また、モルモットは成長の段階で与えるエサが違います。
■成長期のモル
牧草はアルファルファを与えて下さい。ペレットもアルファルファをベースに作った種類が適しています。
モルモットの好き嫌いは成長期に食べたエサによって決まります。つまり、幼い頃から成長期にかけてのエサはなるべくいろいろな種類のものを与えると良いですね。同じものばかりを与える事は好き嫌いの原因になるので避けましょう。
■成体のモル
成長期から成体になる頃に牧草をアルファルファからチモシーに変えて下さい。また、ペレットもベースをアルファルファからチモシーに変えて下さい。
成体のモルで気をつけなければいけないのは肥満です。おやつの食べ過ぎかペレットの食べ過ぎでなので、牧草は自由に食べさせておやつとペレットを与える量を減らして下さい。特に高タンパクな食材は肥満要因の一つなので気をつけて下さい。
■老モル
チモシーを中心に高繊維で低タンパクになるようにして下さい。ビタミンCは多めに与えると良いです。
ペレットの保存方法
モルモットの必須栄養素のビタミンCは野菜やペレットの食餌によって補います。
ここで気をつけるポイントは、ビタミンCは保存状態が悪いとどんどん減っていく事です。
ビタミンはどんどん減る
ビタミンCは空気に触れたり、熱や湿気などによりどんどん劣化して破壊され減っていきます。6週間で約半分くらいが消失すると言われています。
なので、ペレットが古かったり保存状態が悪いと、ビタミンCを与えているつもりでも実はモルはビタミンCが不足している事があります。
保存のコツ
できればペレットは22℃以下で保存して、60日~90日で使い切ると良いですね。
大きな袋に入ったペレットを上手に保存するコツの一つは、小さな入れ物に小分けをする事です。シリカゲルを一緒に入れて可能であれば冷蔵庫での保存が望ましいですね。
食糞します
食糞とは、モルモットが自分の排せつ物である糞を食べるという行動です。
一度では吸収できなかった栄養や腸内細菌を再度取り入れる行動で、異常な行動ではありません。大切な栄養素を食べているだけです。
食べて良いもの、悪いもの
食べて良いもの
キャベツ・パセリ・セロリ・小松菜・白菜・人参、人参の葉・大根、大根の葉・かぼちゃ・きゅうり・レタス・ピーマン・さつまいも・ジャガイモの身・トマト(葉を除く)・ブロッコリー・カリフラワー・チンゲンサイ・ホウレン草・ミカン・バナナ・キュウイ・イチゴなど
注意
※モルモットは人参ときゅうりが好きなので食べさせてかまいません。
人参ときゅうりにはアスコルビナーゼという還元型ビタミンCを酸化型ビタミンCに変える作用の酵素が含まれています(ビタミンCを破壊するわけではありません)。大量に摂取しなければさほど神経質になる必要はありません。
ポイント
※モルにリンゴを与えると皮の部分を好んで食べます。モルにりんごを与えると尿結石を防ぐ効果があります。
※小松菜には陣痛を促進させる作用の成分が含まれています。鉄分も含まれておりますので、妊娠期のモルには普段のエサに加えて小松菜も与えると良いでしょう。
食べて悪いもの
たまねぎ・にら・ねぎ・ニンニク・ジャガイモの芽・ジャガイモの皮・生の豆・アボガド・トマトの葉っぱなど
あげても良い野草
笹、タンポポ、フキタンポポ、マコモ、クローバー、ムギクサ、ハコベ、アオカモジグサ、ヒレハリソウ、ノコギリソウ、オオバコ、レンゲ、シロツメグサ、ナズナ、エノコログサなど。
モルモットを外で散歩させる場合には、勝手にいろいろ野草などを食べるので気を付けてあげましょう。
道ばたに生えている野草は、車の排気ガスや、犬、猫の排泄物などが混じっている場合があるにで、キレイな場所で採取するようにしましょう。
ポイント 【ササの葉】
モルは笹が好きです。笹を与えると待ちきれずに自分から食べに来ます。
笹はチモシーと同様に繊維質が豊富に含まれています。笹を食べることにより咀嚼するので歯にも好ましい食材です。
ただし、食べ過ぎると腸が詰まるのでおやつとしてたまに与えるのが良いでしょう。
危険な野草
アサガオ、水仙、アジサイ、シダ、イヌホウズキ、ツゲ、ショウブ、サツキ、サトイモ、ドクゼリ、ドクニンジン、ニチニチソウ、キョウチクトウ、ナツメグ、スイセン、ワラビ、ベンジャミン、ヒヤシンス、スズラン、ツツジ、シャクナゲ、ヨモギ、ヨモギギク、セントポーリア、ベゴニア、オシロイバナ、ホオズキ、ジンチョウゲ、ウルシ、クサノオウなど。