モルモットとの生活は、たくさんの癒やしと喜びに満ちています。
しかし、一つの命を預かることは、それだけ大きな責任を背負うということです。
「飼ってみたい」という気持ちだけでは続かず、「飼い始める前の準備」と「覚悟の有無」が、モルモットとの幸せな共生を左右します。
お迎えしてから後悔しないために、お迎えする前に飼い主が考えるべきこと・話し合うべきこと・整えておくべき環境について解説します。
- モルモットを迎える前に家族と話し合うべき具体的な内容や、アレルギー確認の重要性がわかる
- ペット可物件の確認や将来の引越しなど、後悔しないための住環境チェックリストが手に入る
- モルモットの一生(約6〜8年)にかかる時間、費用、お世話のリアルなイメージが掴める
- 「可愛い」という気持ちだけでなく、命を最後まで預かるための“覚悟”をご自身の心に問い直すことができる
- お迎えが、飼い主とモルモットの双方にとって最高のスタートになるための心の準備ができる
家族の同意とライフスタイル
「自分ひとりで世話をする」ではなく「家族全員で支える」
まず最も重要なのは、同居する家族全員の同意を得ることです。「お世話は全部自分でやるから」と約束しても、旅行や病気など、どうしても家族の協力が必要になる場面は必ず訪れます。また、家族の中にアレルギー体質の方がいないかどうかを、事前に医師の診断を含めて確認しておくことも大切です。
家族が反対する時は、理由を聞き、対話をする
「お世話が大変そう」「鳴き声や臭いが心配」「部屋が狭くなる」――
こうした家族の不安は、モルモットという動物をまだ知らないがゆえの誤解であることも多いです。
飼育書や専門サイトを一緒に見ながら、「実際はどのくらい手間がかかるのか」「掃除や温度管理はどうすればいいか」を具体的に話すと、理解が得やすくなります。
モルモットの特性や飼育のメリットを具体的に伝えることが理解への第一歩です。
家族の絆を深める“新しい会話のきっかけ”
新しい家族であるモルモットがリビングにいれば、自然とみんなが集まり、その愛らしい仕草が会話のきっかけになり、家族の会話の中心に自然と笑顔が生まれます。
食事のあと、誰かが「今日は鳴き声が大きかったね」「牧草をよく食べてたよ」と話題にするだけで、家庭に温かい空気が流れます。
動物を迎えることは、“世話を分担する”というより、“時間を共有する”こと。
その日常の共有が、家族の結びつきを少しずつ強めていきます。
情緒を安定させるパートナーに
モルモットと触れ合うことは、心をリラックスさせ、情緒を安定させる効果があると言われています。不安な時や寂しい時にそっと寄り添ってくれる存在は、子どもから大人まで、家族みんなの心の支えになります。
一人暮らしでも寂しくない
一人暮らしでも、モルモットとの生活は心を支えてくれます。
仕事で疲れて帰った夜、ケージの中から「プイプイ!」と鳴く声が聞こえる――それだけで孤独感が和らぎます。
おしゃべりなモルモットが一人いるだけで、部屋はとても賑やかになります。
騒音・臭い・アレルギーへの考慮
モルモットは一般的に静かな動物ですが、甘える時や食事をねだる時には「プイプイ」「キュイー」と高い声で鳴きます。
集合住宅では、夜間の鳴き声が響かないようにケージの位置を調整するなど、周囲への配慮も必要です。
また、体臭そのものはほとんどありませんが、排泄物や湿った床材が臭いの原因となります。
こまめな掃除(1日1回以上)と、週1〜2回の床材交換を習慣化すれば、臭いはほとんど気になりません。
さらに、モルモットの飼育では、牧草の粉塵やモルモット自身のフケなどが原因で、飼い主様やご家族にアレルギー反応が起こる可能性があります。
アレルギーは“飼い始めてから発症する”ケースも多く、飼育を続ける上で深刻な問題の一つとなり得ます。しかし、正しい知識と対策があれば、モルモットとの生活を諦める必要はまったくありません。
お迎えを決める前に、そして今まさに症状にお悩みの方は、必ず以下の詳細ガイドをお読みください。
→ 【詳細ガイドはこちら】モルモットアレルギー対策ガイド|飼い主と家族を守る安全な飼育環境の作り方
アレルギーは“飼ってから気づく”ケースが多く、トラブルを招きやすい要因です。
飼う前に医療機関で相談し、必要なら空気清浄機やマスク着用などの対策を考えましょう。
ペット可物件・引越しへの備え
「小動物だから大丈夫」は危険な誤解
アパートやマンションでの飼育を検討する際、物件がペット可であることは絶対条件です。
「小動物なら見つからないだろう」と自己判断して飼育するのは、契約違反にあたります。
発覚した場合、退去勧告や高額な原状回復費用を請求される可能性があり、最悪の場合はモルモットを手放す結果につながります。
確認すべき項目
- 契約書に「小動物可」「ペット相談可」と明記されているか
- 飼育数・ケージのサイズ・設置場所に制限がないか
- 騒音・臭気についての具体的なルールがあるか
- 引越し時、原状回復の義務がどの範囲までか
また、将来的に引越しの可能性がある場合、ペット可の物件を探すことが容易ではないことを念頭に置いてください。
引越し先でモルモットが暮らせる環境を再現できるよう、温度・湿度・防音・採光の条件を記録しておくと安心です。
アパートやマンションでの飼育について、詳しくはこちら:一人暮らし・集合住宅でのモルモット飼育ガイド
最後まで責任を持つ覚悟
モルモットの一生は「約6〜8年」
この期間、飼い主は毎日欠かさずお世話を続ける必要があります。
食事・掃除・爪切り・温度管理――それらは誰かが代わりにやってくれることではありません。
また、年齢を重ねると腫瘍・歯の過長・足の疾患などが発生することもあり、治療費がかさむ場合もあります。
「6年だけ」ではなく、「6年という年月のすべてを一緒に過ごす」という覚悟が必要です。
その間、あなたの生活や仕事が変わっても、モルモットはずっと同じペースであなたを待ち続けます。
可愛いという気持ちだけでなく、この先何年も変わらず愛情を注ぎ、一生涯のパートナーとして責任を持てるか、ご自身の心に問いかけてみてください。
飼い主の責任と法律
日本の「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」では、
飼い主は動物が健康で快適に暮らせるよう努めるとともに、終生飼養の義務を負うと定められています。
動物を“消耗品”として扱うことは許されず、引越し・転職・家庭の事情といった理由で安易に手放すことは、社会的にも強く非難されます。
モルモットを迎える前に、自分の生活設計の中で「最期まで面倒を見られるか」を冷静に考えることが、最も重要な“飼い主の準備”です。
モルモットがもたらす心の豊かさ
毎日のお世話は、決して楽なものではありません。
忙しい日も、体調が悪い日も、牧草の補充や掃除は待ってくれません。
それでも、ケージの隅から小さな顔を出し、「プイプイ」と鳴いてくれる瞬間――その一瞬が、心を癒やします。
モルモットがもたらしてくれる癒やしは、何物にも代えがたいものです。筆者自身も、仕事で心身ともに疲れきっていた時期、モルモットの存在に何度も助けられました。
彼らは言葉を話さなくても、飼い主の気持ちを驚くほど正確に感じ取ります。
静かに寄り添う姿、穏やかな寝息、食べる音――そのすべてが“生きている温もり”として、飼い主の心に寄り添ってくれます。
モルモットを飼うことは、「癒やされたい」からではなく、「癒やしを与えられる人になる」ということ。
命と向き合い、責任を果たす過程で、飼い主の心も成長していくのです。
まとめ:迎える前に、飼い主が「変わる」準備を
モルモットをお迎えするということは、
可愛らしさに惹かれて手を伸ばすことではなく、
“命と共に生きる”という日々に自分を合わせる覚悟を持つことです。
- 家族の理解を得ること
- 住環境を整えること
- 健康と費用のリスクを想定すること
- そして、最期まで責任を持つ決意をすること
この4つの準備を整えて初めて、「飼う資格」が生まれます。
モルモットは飼い主を選べません。
だからこそ、飼い主が自分を整えてから迎えることが、最初の愛情表現です。
モルモットと暮らす前に――まず、あなた自身の“覚悟”を見つめてください。
その一歩から、本当の「癒やしと信頼の関係」が始まります。
