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食べて良いもの・悪いものリスト

モルモットの食事の基本は牧草とペレットですが、コミュニケーションやビタミン補給のために野菜や果物を与えるのも大きな楽しみの一つです。しかし、人間にとっては安全な食べ物でも、モルモットにとっては有毒なものや腸内環境を乱すものが少なくありません。

「これくらいなら大丈夫」という油断が、下痢・食滞・中毒を引き起こすこともあります。

本記事では、安全に与えられる食材・与えてはいけない食材・与え方の基本ルールを、科学的根拠と実際の飼育現場の知見を交えて詳しく解説します。

💡この記事でわかること
  • モルモットに安全に与えられる野菜・果物・野草の具体的なリストがわかる
  • 命に関わる危険な食べ物や、絶対に与えてはいけない有毒植物がわかる
  • 野菜や果物を与える際の「量・頻度・注意点」といった基本ルールが身につく
  • 誤って危険なものを食べたかもしれない時の初期症状と緊急対応がわかる
  • 市販のおやつ選びや、与え方を工夫してモルモットとの信頼関係を深めるコツがわかる
目次

与える際の基本ルール

おやつは“主食の妨げにならない量”

  • 野菜や果物は「おやつ」扱いです。
  • 与えすぎると、下痢・肥満・ペレット拒否などを起こします。
  • 1日の総量は、カップ1杯程度(体重1kgあたり約50〜70g)が目安です。
  • 野菜2〜3種類を少量ずつローテーションで与えましょう。

モルモットは盲腸発酵で繊維を分解するため、食物繊維が不足すると腸が止まります
おやつの与えすぎは、腸の「動く力」を奪うリスクがあることを忘れないでください。

温度・水分・新鮮さが命

  • 冷蔵庫から出した直後の冷たい野菜はお腹を冷やし、腸の動きを止める原因になります。常温に戻してから与えましょう。
  • 洗うときは水気をよく切り、濡れたまま放置しない。湿った葉はカビや細菌の温床になります。
  • 切った野菜はできるだけその日のうちに消費。時間が経つとビタミンCが減少します。

人間の食品・加工品はすべてNG

味付け・加工された人間用食品はすべて禁止です。
 塩分・糖分・油分・添加物がモルモットの腎臓・肝臓に強い負担をかけます。

・パン・お菓子・味付き野菜・乾燥フルーツ・シロップ漬け果物などは、無添加であっても与えないでください。
 乾燥によって糖分が濃縮され、少量でも血糖値や腸内環境に悪影響を及ぼします。

市販のペット用乾燥野菜や乾燥フルーツは、無添加・無糖と書かれていても糖分が凝縮されているため、肥満や腸内環境の乱れにつながりやすいです。基本的には生の野菜や果物を与えることを推奨し、乾燥製品は避ける方が賢明です。

判断の目安
「人間がそのまま食べて美味しい」と感じるものは、モルモットには与えない。
安全なのは「香りが青く、味のない自然素材」だけです。

食べて良い野菜

  • パセリ
  • 小松菜
  • チンゲンサイ
  • ピーマン(赤・黄)
  • ブロッコリー
  • キャベツ:ビタミンも豊富ですが、与えすぎると腸内でガスが発生しやすい種類です。与える際は、ごく少量(週に1〜2回、葉のひとかけら程度)にとどめましょう。
  • 白菜
  • ニンジンおよびその葉
  • 大根およびその葉
  • カボチャ
  • セロリ
  • きゅうり
  • レタス類:サニーレタス、グリーンリーフ、ロメインレタスなどは与えても良いですが、玉レタスは水分が多く栄養価が低いため、与えないでください。
  • さつまいも:糖分が非常に多いため、野菜というより果物に近い『特別なおやつ』です。与える場合でも、指先ほどの大きさを月に1〜2回程度に留めるなど、厳格な管理が必要です。

【ポイント】ニンジン・きゅうりについて
これらの野菜にはビタミンCを分解する酵素「アスコルビナーゼ」が含まれます。
しかし、実際には体内で有害なほど分解するわけではありません。
酸味のある野菜(ピーマンやトマト)やペレットと一緒に与えると、酵素は中和されます。
おやつとして適量を与える分には問題ありません。

与え方の工夫

  • 食事時間を「声をかける合図」と結びつけると、飼い主への信頼形成にもなります。
  • 複数の野菜を交互にあげることで、栄養の偏りと飽きを防ぎます。
  • 残したものはすぐに片付け、湿気で腐らせないこと。

食べて良い果物(少量のお楽しみ)

果物は糖分が多いため、週2〜3回、指先サイズ1〜2切れまでにしましょう。
与えすぎると肥満や盲腸便異常を起こすことがあります。

  • リンゴ
  • ミカン
  • イチゴ
  • バナナ
  • キウイ
  • パイナップル

【ポイント】リンゴと小松菜の組み合わせ
リンゴは尿路結石の予防に、鉄分が豊富な小松菜は妊娠期の栄養補給に適していると言われています。

  • リンゴに含まれるカリウムなどが、尿の排出を促し、一部の尿路結石の予防に役立つ可能性があると言われています。
  • 小松菜は鉄分とカルシウムが豊富で、妊娠期・成長期に◎。ただし、カルシウムが非常に豊富なため、尿路結石のリスクがある成体のモルモットには与えすぎに注意が必要です。健康状態に合わせて与えることが大切です。
  • ただし、両者とも過剰に与えないことが大切です。

食べてはいけない野菜・果物(有毒・危険)

以下の食品はモルモットに中毒症状・呼吸障害・肝臓障害を起こす危険があります。
絶対に与えないでください。

  • ネギ類(タマネギ、長ネギ、ニラ、ニンニクなど)
  • ジャガイモの芽や皮
  • 生の豆類
  • アボカド
  • トマトの葉やヘタ
  • ナスのヘタ・葉
  • チョコレート・コーヒー
  • 玉ねぎ入りスープなど

誤食した場合は「どのくらい・何を・いつ食べたか」を記録し、直ちに動物病院へ。
モルモットは嘔吐できない動物なので、自己処理はできません。

あげても良い野草

野草を与えるときは、農薬・排気ガス・動物の糞尿のない場所で採取し、
水洗い・水切りを徹底してください。乾燥気味にして与えると安全です。

  • タンポポの葉や花
  • クローバー(シロツメグサ)
  • ハコベ
  • オオバコ
  • ナズナ
  • エノコログサ(猫じゃらし)
  • 笹の葉

【ポイント】笹の葉の扱い方

笹の葉は歯の摩耗を助ける繊維質のかたまりで、多くのモルモットが好みます。
しかし、消化に時間がかかるため、週1〜2回・少量にとどめましょう。
乾燥笹を軽く湿らせると香りが立ち、食欲を刺激します。

危険な野草・観葉植物(要注意リスト)

室内や散歩中に触れる植物にも有毒なものが多くあります。
「部屋んぽ」中に誤食するケースが意外と多いので、観葉植物の置き場所にも注意しましょう。

  • アサガオ
  • アジサイ
  • スイセン
  • スズラン
  • ツツジ
  • ワラビ
  • ヨモギ
  • ポインセチア
  • アイビー
  • モンステラ など

上手な与え方のコツと習慣化

  1. 「いつ・何を・どれくらい」を記録しておく。体重変化と一緒に見ると健康管理に役立ちます。
  2. 初めての食材は1種類ずつ。新しい野菜を一度に複数与えると、どれで下痢したかわからなくなります。
  3. おやつの時間を決めることで、モルモットの生活リズムが安定し、ストレス軽減にもなります。
  4. 体調や毛並み、糞の形に変化が出たら、すぐに与えた食材を中止

ビタミンC補給と栄養バランス

モルモットは人間と同じく体内でビタミンCを合成できません。
不足すると「壊血病(ビタミンC欠乏症)」を発症します。

補給の方法:

  • 毎日のペレットで補う(新鮮なペレットを使用)
  • ピーマン・小松菜・ブロッコリーなどをローテーション
  • 飲水添加剤は酸化が早いので、基本は固形から摂取

欠乏のサイン:

  • 食欲低下、毛並みの荒れ、関節を痛がる、歯ぎしり
  • 1日あたり20〜30mg/kgのビタミンCを目安に確保

「お迎え後の食事ケア」

お迎え直後は、食材を変えすぎないことが最優先です。
環境変化・音・人の動きが重なると、食滞を起こすリスクが高まります。

関連リンク:
お迎え初日からの1週間|緊張をほぐす接し方ガイド

このページでは、

  • 初日の給餌・水分の与え方
  • 食欲が落ちた時の対応
  • 飼い主が先に“慣れる”心構え
  • モルモットの緊張をほぐす会話と距離感
    などを詳しく紹介しています。

「食べ物」と「心のケア」は常にセット。
安心して食べられる環境が整ってこそ、食事が“栄養”として働きます。

与えることは“信頼のやりとり”

  • モルモットにとって食べ物は「愛情の言葉」。
  • 飼い主が安全を学ぶことが、最も深い信頼構築につながります。
  • 「これなら安心」より、「念のため確認」の姿勢を持ちましょう。
  • 今日も、小さな手が野菜を受け取ってくれる瞬間を大切に。

付録A:与えてよい主な食材まとめ

安全な野菜安全な果物有害食材
小松菜/チンゲンサイ/ピーマン/ブロッコリー/ニンジン/大根の葉/セロリリンゴ/イチゴ/キウイ/ミカン/バナナ/パイナップルネギ類/アボカド/生豆類/トマトのヘタ/ナスの葉/チョコレート/スズラン/ポインセチア

付録B:1日の与え方メモ(例)

時間帯内容目安量
主食:牧草・ペレット/水交換牧草食べ放題/ペレット10〜15g
野菜タイム(小松菜・ピーマン・ブロッコリーなど)合計でカップ1杯程度(約50〜70g)
夕方コミュニケーションタイム(おやつ代わりに果物少量)指先サイズ1〜2切れ(週2〜3回まで)
牧草補充・水の交換・食後の健康チェック牧草

よくある質問(FAQ)

Q1:冷凍野菜や冷凍果物は使っても大丈夫?
A:基本的には避けましょう。解凍時に水分が多くなり、栄養が流れ出します。冷凍や加熱はビタミンCを破壊します。非常時(災害・停電時)に一時的に使う場合のみ、完全に常温に戻し、水気を拭き取ってごく少量を与えます。

Q2:ビタミンCサプリを水に溶かして与えていい?
A:水に溶かすタイプは酸化が早く、1〜2時間で効力が落ちます
水の味が変わると飲まなくなる危険もあるため、基本はペレットまたは野菜から摂取しましょう。
どうしても補助したい場合は、ペレットに直接粉末をまぶす方法が安全です。

Q3:牧草をあまり食べず、野菜ばかり欲しがります。どうすれば?
A:牧草を食べる習慣を取り戻すには、おやつの制限と環境見直しが必要です。

  • おやつは1日1回以下
  • 牧草は新鮮で柔らかい一番刈りを用意
  • ケージを静かで落ち着ける場所に設置
    数日で徐々に牧草への興味が戻る場合が多いです。

Q4:市販の乾燥野菜チップは便利ですが、使ってもいいですか?
A:成分をよく確認してください。「無添加」「無糖」「無塩」であればごく少量はOK。
ただし、乾燥品は水分が抜けて硬くなり、誤嚥(ごえん)や喉の詰まりの危険があるため、水を軽く含ませて柔らかくしてから与えると安全です。

Q5:食べられない草を口にした場合、どんな症状が出ますか?
A:初期症状は「食欲低下・歯ぎしり・よだれ・糞の減少」。
その後、下痢・震え・ぐったりなどが見られたら、直ちに受診を。
モルモットは嘔吐ができないため、中毒物質を体外に出す手段がありません。

日常に取り入れたい“食の観察習慣”

「食べ方」を見る

  • 食いつく勢い・噛むリズム・咀嚼の左右差
  • 途中で止まる、くわえ直す、口をもぐもぐする時間が長い場合は歯の異常を疑う。

「残し方」を見る

  • 野菜を好みだけ選んで残す → 偏食のサイン
  • 牧草を粉のように砕くだけ → 噛む力が弱まっている可能性

「糞」で見る

  • 俵型で表面がツヤツヤ → 正常
  • 細くて硬い → 水分不足・食滞の初期
  • 柔らかく潰れる → 野菜・果物の与えすぎ
  • 匂いが強い → 腸内細菌バランスの乱れ

飼い主の“与えるタイミング”の工夫

朝:観察と信頼の時間
 目の前で牧草を置くと、飼い主の存在=安心と学習します。

昼:食事のリズムづくり
 決まった時間に野菜を与えることで、生活に予測性が生まれます。

夜:おやつで絆を深める時間
 静かな照明下で果物を一口。撫でながら与えると「手=安心」を覚えます。

“食べない・飲まない”ときの緊急対応

最初の24時間が勝負です。
モルモットは絶食時間が12〜24時間を超えると、腸が止まり、命に関わります。

確認手順:

  1. 水の減り/糞の有無/尿の色をチェック
  2. 牧草を新しく入れて反応を見る
  3. 好物を見せて無反応なら、即受診

【参考リンク】

お迎え初日からの1週間|緊張をほぐす接し方ガイド
(初期ストレスや絶食時のケアを詳しく紹介)

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