モルモットの魅力の一つは、その驚くほど多様な品種とカラーバリエーションです。短いストレートヘアの子から、ゴージャスなロングヘア、ユニークなカーリーヘアまで、その姿は千差万別。これら品種と色の組み合わせは100種類を超えるとも言われています。この記事では、代表的なモルモットの品種を毛質や毛長、カラーに分けて、それぞれの特徴を詳しくご紹介します。きっとあなたのお気に入りの子が見つかるはずです。
毛質・毛長による分類
イングリッシュ(ショートモルモット)
最もポピュラーな短毛種。滑らかな直毛で、ずんぐりとした丸い体型が特徴です。イギリスで300年以上かけて改良されたと言われ、毛の長さは3~4cmほど。カラーバリエーションが非常に豊富で、中にはサテンのように光沢のある美しい毛質を持つ子もいます。穏やかな性格の子が多く、初めてモルモットを飼う方にもおすすめです。
クレステッド
イングリッシュに似ていますが、頭のてっぺんにつむじ(冠毛/クレスト)が一つだけあるのが特徴です。クレストの色によって、体色と同じ「イングリッシュクレステッド」と、クレストだけが白い「アメリカンクレステッド」に分けられます。
アビシニアン
「巻毛モルモット」とも呼ばれ、全身に10個以上のつむじ(ロゼット)がある個性的な品種です。毛質は少し硬めで荒く、毛の長さは4~5cmほど。つむじの影響で毛が四方八方にハネているように見えます。古くから存在する品種で、1861年にイギリスで認定されました。ロゼットの数や配置の左右対称性が、ショーなどでの評価基準になることもあります。
シェルティ(シルキー)
つむじがなく、絹のように滑らかで美しい直毛のロングヘアが特徴です。1973年にイギリスで認定された品種で、アメリカでは「シルキー」とも呼ばれます。頭部の毛はあまり伸びず、体全体、特に脇腹の毛が長く伸びて体に沿って流れる姿には品と高級感があります。美しい被毛を保つため、毎日のブラッシングが欠かせません。
ペルビアン
シェルティと同様のロングヘアですが、お尻に2つのつむじがあるため、毛が前方に向かって伸び、顔にかかるのが最大の特徴です。1886年頃にフランスのパリで登場した品種で、かつては「アンゴラモルモット」とも呼ばれていました。長い毛は30cm以上に達することもあり、まるでモップのようなユニークな見た目になります。毛が絡まりやすくゴミもつきやすいため、こまめなブラッシングやカットが必須の上級者向けの品種です。
テクセル
1980年代にイギリスで、レックスとシェルティを交配して生まれた品種です。カールした縮れ毛のロングヘアが特徴で、ふわふわ、もこもことしたぬいぐるみのような愛らしさで人気があります。毛質は柔らかですが、縮れているため非常に絡まりやすく、こまめなブラッシングが必要です。
スキニーギニアピッグ
体に毛がない「ヘアレス」タイプのモルモットで、見た目はまるで小さなブタのようです。1978年にカナダの研究所で発見された突然変異が起源とされています。
全く毛のないタイプと、鼻先や足先に少しだけ縮れた毛が残るタイプの2種類がいます。発見当初は免疫に欠陥がありましたが、現在は改良が進み、健康な個体がペットとして流通しています。毛がないためアレルギーの心配が少なく、人肌の温もりが感じられるのが魅力です。ただし、皮膚がデリケートで傷つきやすく、寒さにも非常に弱いため、温度管理には特に注意が必要です。
日本では鼻先と足に毛があるタイプの雄が多く流通しているなど、国によって流通事情に違いが見られるのも興味深い点です。
カラーバリエーションによる分類
モルモットの毛色は、全身が一色の「単色(セルフ)」と、2色以上の毛色を持つ「複数色(ノンセルフ)」に大きく分けられます。
単色(セルフ)
全身が同じ一色で統一されたカラーです。白・茶・黒を基本としますが、茶色の濃淡などによって細かく呼び分けられます。
ライラック: 少し灰色がかった淡い茶色の毛色。
ホワイト: 真っ白な毛色。目の色によってピンクアイド、ダークアイドに分かれます。
クリーム: 柔らかい黄色、クリーム色の毛色。
ブラック: 光沢のある真っ黒な毛色。
ベージュ: 優しく淡い茶色の毛色。
レッド: 赤みがかった明るい茶色の毛色。
チョコレート: 深みのある濃い茶色の毛色。
ゴールデン: 輝くような金色の毛色。
サフラン: 黄色に近い明るい茶色の毛色。
複数色(ノンセルフ)
2色以上の毛色を持つカラーです。日本では単色よりも複数色のモルモットの方がよく見られ、特に白・黒・茶の2~3色で構成されることが多いです。
- 二毛 (Tortoiseshell): 黒と赤茶など、2色の毛色がパッチ状にはっきりと分かれているカラー。
- 三毛 (Tortoiseshell & White): 二毛に白が加わった3色のカラー。日本人にも馴染み深い配色です。
- アグーチ (Agouti): 1本の毛が根元と毛先で異なる色に染まっているのが特徴。全体的にまだらで深みのある色合いに見えます。
- ローン (Roan): ベースとなる毛色に白い毛が均等に混ざり合ったカラー。馬の葦毛(あしげ)に似ています。
- ダルメシアン (Dalmatian): 白地に、黒または茶色の斑点が散らばる、犬のダルメシアンのような模様です。
- ヒマラヤン (Himalayan): 体は白く、鼻先、耳、足先だけが黒や茶色になるシャム猫のようなカラーパターン。目は赤色です。
- ダッチ (Dutch): ウサギのダッチ種に似た特徴的な模様。顔の目の周りとお尻から後半身にかけて色がつき、その間は白い帯が入ります。
- ハーレクイン (Harlequin): 濃い色と薄い色の毛が、まだら模様や縞模様を形成するカラーです。
