モルモットは、私たちが感じている世界とは少し違った世界を生きています。彼らはその小さな体で、鋭い感覚を頼りに周囲の危険を察知し、食べ物を見つけ、仲間とコミュニケーションをとっています。モルモットの聴覚や嗅覚、視覚といった感覚器のしくみを理解することで、彼らの行動の理由がもっとよくわかるようになります。
聴覚(高周波感度)
モルモットの聴覚は非常に優れており、特に人間には聞こえない高い周波数の音を聞き分けることができます。これは、天敵の出すかすかな物音や、仲間が出す警戒音を聞き取るために発達した能力です。冷蔵庫の開く音やビニール袋のガサガサという音に敏感に反応して鳴き出すのは、彼らの鋭い聴覚の証拠です。一方で、大きな音や突然の物音は強いストレスになるため、静かな環境を好みます。
嗅覚(匂いで識別)
嗅覚もまた、モルモットにとって非常に重要な感覚です。彼らは匂いを使って、食べられるものとそうでないものを見分け、仲間や飼い主を識別し、縄張りのマーキングを行います。飼い主さんの匂いを覚えると、足音が聞こえる前から「ごはんの時間だ!」と察知して鳴き始めたりします。新しいおもちゃや食べ物を与えるとき、まずクンクンと匂いを嗅いで安全を確認するのはこのためです。
視覚(色覚・視野特性)
モルモットの視力はあまり良くなく、人間ほど鮮明に物を見ているわけではありません。しかし、その視野は驚くほど広く、約340度もの範囲を見渡せると言われています。これは、草食動物としてあらゆる方向から近づく天敵をいち早く発見するための特徴です。真後ろ以外のほとんどの範囲が見えているため、背後からそっと近づいても気づかれることが多いでしょう。また、動体視力に優れており、静止しているものより動くものによく反応します。色覚については、赤色を認識できるなど、ある程度の色を見分けられると考えられています。
ひげと触覚
顔の周りに生えている「ひげ(触毛)」は、非常に敏感なセンサーの役割を果たしています。ひげを使って物の大きさや距離、狭い場所を通れるかどうかを判断します。暗い場所や巣穴の中でも、このひげを頼りにスムーズに移動することができます。
また、全身が振動に敏感で、床を歩く人の足音や交通の振動などもストレスの原因になることがあります。
