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日常ケアの基本|爪切り・ブラッシングの頻度と方法

モルモットが毎日を健康で快適に過ごすためには、食事や掃除といった基本のお世話に加えて、定期的な身体ケアが欠かせません。
特に「爪切り」と「ブラッシング」は、転倒・骨折・皮膚病などの予防や、病気の早期発見につながる重要なメンテナンスです。
それぞれの正しい方法、適切な頻度、そして入浴(お風呂)に関する安全な考え方まで、詳しく解説します。

💡この記事でわかること
  • なぜ爪切りやブラッシングが必要なのか、その健康上の重要性が根本からわかる
  • 爪切りに必要な道具から、安全な保定(抱っこ)、血管の見つけ方まで、怖がらせないための具体的な手順が学べる
  • 万が一、爪を切りすぎて出血させてしまった時の、落ち着いた正しい対処法がわかる
  • 短毛種・長毛種それぞれのブラッシングの適切な頻度と方法がわかる
  • ケアを「嫌な時間」ではなく「楽しい時間」に変えるための声かけやご褒美のコツを学び、モルモットとの信頼関係をさらに深めることができる
目次

爪切りの頻度と方法|怖がらせずに“仲良くケア”するコツ

モルモットの小さな爪。放っておくと少しずつ伸びていき、先が丸まってきます。
伸びた爪はカーペットやすのこに引っかかりやすく、時には根元から折れてしまうことも。
そんなトラブルを防ぎ、足を健康に保つために欠かせないのが「爪切り」です。

けれど実際にやってみると、思ったよりも難しいと感じる方が多いはずです。
モルモットが暴れて怖がったり、どこまで切っていいのか迷ったり――。
ここでは、そんな“ちょっと苦手”を“ちょっと得意”に変えるためのコツを、
やさしく丁寧にお伝えしていきます。

なぜ爪切りが必要?

モルモットの爪は、一度も切らずにいると人間の爪と同じように伸び続けます。
長くなった爪が内側へ巻くように曲がってくると、歩くたびに足の裏を圧迫し、
痛みを感じるようになってしまいます。

そうなると、自然と歩き方も不自然になり、関節や足底に負担がかかります。
いわゆる「足底皮膚炎(バンブルフット)」と呼ばれる状態にもつながることがあり、
ひどい場合は歩くのも辛くなってしまいます。

爪切りは単なる見た目のためではなく、
転倒や骨折を防ぐ“健康維持のケア”でもあるのです。

爪切りのタイミング(頻度の目安)

爪の伸び方はモルモットによって少しずつ違います。
よく走り回る活発な子は、床で自然に削れて伸びにくいこともありますが、
おとなしい子や高齢の子は、あっという間に伸びてしまうことがあります。

だいたいの目安としては3〜6週間に1回
ただし、いちばん大事なのは「定期的に見ること」です。
毎週、ブラッシングや掃除のついでに爪先を確認して、
「そろそろかな?」と小さく気にかけてあげるだけでも十分です。

目安としては――
・立っている時に、爪がまっすぐ下ではなく横に寝るように伸びて見える
・立っている時に爪先が外側に突き出て見える
・床を歩く時に「カチカチ」と音がする
・抱っこ中に衣服へ爪が引っかかる
このような状態が見られたら、そろそろカットのタイミングです。
爪が横に寝てしまうのは、モルモットが「立つたびに痛みを避けようとしているサイン」でもあります。
早めにケアしてあげることで、足の負担を軽くし、歩く姿勢も安定します。

🐾 ブラッシングの“ついでチェック”を習慣に
爪だけを意識すると大変に感じますが、
「お世話の延長」として一緒に見るとぐっと気楽になります。

ブラッシングのついでに爪の長さを確認する習慣をつけると良いでしょう。

爪切りの前に準備するもの

「さあ切るぞ」と慌ててしまうと、モルモットもその気配を感じ取って緊張します。
あらかじめ必要なものを手元にそろえておくと、安心して落ち着いて行えます。

  • 小動物用のニッパー型つめ切り(人間用は刃の形が合いません)
  • ペンライト(スマホのライトでもOK)
  • 清潔なガーゼ
  • 止血パウダー(粉末タイプ)またはコーンスターチ
  • 小型やすり(仕上げ用)
  • 大判タオル(保定用)
  • モルモットの好物の野菜(ご褒美用)

道具を整えることは、「焦らない準備」でもあります。
モルモットにとっても、あなたにとっても安心の時間になります。

爪切りの流れ|ゆっくり、やさしく、焦らずに

Step 1:抱っこの仕方(保定)

爪切りを始める前に、まずは**「安全な抱っこの姿勢」**を確認しましょう。
モルモットはとても繊細な体をしており、高い場所から落ちると骨折などの大怪我につながることがあります。
そのため、必ず椅子や床に座った状態で抱っこしてください。

膝の上にタオルを敷き、モルモットをそっと包み込むようにします。
お尻を支え、胸の下に手を添えることで、体全体のバランスが安定します。
体が左右に揺れないように、腕の内側で軽く固定すると安心です。

暴れそうな子や緊張しやすい子は、二人で協力すると安全です。
一人が落ち着かせながら抱え、もう一人が爪を切る――その方がモルモットも飼い主もずっと落ち着いていられます。

また、作業は立って行わず、座ったまま膝の上で完結できる高さで行いましょう。
これだけで、もしもの時も地面までの距離が短くなり、怪我を防ぐことができます。

ワンポイントアドバイス
爪切り中に「プイッ」と体をねじることがありますが、それは怖さのサイン。
無理に押さえつけず、「大丈夫だよ」と声をかけて一度落ち着かせてあげましょう。
“焦らない時間”こそ、モルモットにとって安心の記憶になります。

野菜を使ってみよう
好きな野菜を少しずつ手前に出してあげながら行うと、
「爪切り=おいしい時間」という記憶が残ります。
正の強化(ご褒美学習)はとても効果的です。

Step 2:血管を見つける

モルモットの爪には血管(クイック)が通っています。
白い爪の子は、爪の中央がピンク色に透けて見えます。
その血管の先端から2〜3mm外側
を目安にカットしましょう。

黒い爪の子は血管が見えにくいため、少しずつ角を落とすように切るのが安全です。
裏からペンライトで光を当てると、血管の位置がふんわりと分かる場合もあります。

怖いときは無理をせず、「今日は前足の1本だけ」でOKです。
短い時間でも“嫌な記憶”を残さないことの方がずっと大切です。

Step 3:切り方のコツ

爪先が丸くなるよう、平らに“ちょん”とカット。
鋭くなったら、小型のやすりで軽く整えてください。
もしも深く切りすぎてしまった時は、落ち着いてガーゼで数分間圧迫止血します。
血が止まらない時は止血剤(またはコーンスターチ)を少量つけましょう。

決してお線香などの焼灼は行わないでください。
火傷や感染のリスクが高く、痛みが残ってしまいます。
モルモットは我慢強くても、強い痛みの経験は心の傷になります。

Step 4:もし出血してしまったら

どんなに慎重に切っても、時には血がにじんでしまうことがあります。
そんな時は、慌てずに落ち着くことが何より大切です。

まず、清潔なガーゼやティッシュで数分間しっかり押さえましょう
人間の指先の小さな切り傷と同じで、しばらく圧をかければ自然に止まることがほとんどです。
血が止まらない時は、ペット用の止血パウダーを少しつけて押さえると安心です。
もし手元になければ、代わりにコーンスターチや小麦粉でも代用できます。

🩹 ポイント:
こすったり、アルコールで消毒したりするのは逆効果です。
痛みや刺激でモルモットがびっくりしてしまいます。
乾かすように軽く押さえ、静かに休ませてあげましょう。

血が止まったら、その日はもう爪切りをやめて大丈夫です。
“嫌な体験を残さない”ことが、次につながります。

Step 5:上手に慣らすための工夫

モルモットにとって、爪切りは「何をされているか分からない不思議な時間」です。
だからこそ、「怖くない」「気持ちのいい時間」に変えてあげる工夫がとても大切です。

  • 爪切りの前に優しく名前を呼ぶ
  • 好きな野菜を手に持ち、「おいしい時間」とセットで行う。
  • 1本だけ切って終わり、短い時間で成功体験を積む。

これだけで、モルモットの印象が驚くほど変わります。
「この人に抱っこされても怖くない」と覚えることが、次のケアをぐっと楽にしてくれます。

覚えておきたいこと
爪切りは“完璧に切ること”が目的ではありません。
“怖くなかった”という記憶を積み重ねることが、
長い目で見ればいちばんの成功です。

Step 6:どうしても難しいときは

どれだけ気をつけても、「やっぱり怖くてできない」ということもあります。
それはまったく悪いことではありません。
モルモットによっては、どうしても手足を触られるのを嫌がる子もいます。

そんな時は、無理をせずに専門家に頼るのがいちばんです。
動物病院や小動物に慣れたペットショップでは、
安全な保定方法を実際に見せてもらうこともできます。
「どう支えているのか」「どんな角度で切っているのか」――
一度プロの手元を見るだけで、自宅でのケアがぐっと安心になります。

飼い主さんの心もケアです
爪切りで手が震える、ドキドキする。
そんな時は一度深呼吸して、今日は見守るだけでも構いません。
大切なのは、モルモットとあなたが一緒に“安心”を育てていくことです。

焦らず、少しずつ慣れていけば大丈夫

モルモットの爪切りは、最初こそ緊張するケアですが、
コツを掴めば日常のお世話のひとつとして自然にできるようになります。

  • 座った姿勢で安全第一に。
  • 無理をせず、1本だけでもOK。
  • 好きな野菜で気をそらしながら、楽しい時間に変える。
  • 出血しても慌てず、押さえて止めれば大丈夫。

そして何より大切なのは、
「今日はうまくできたかな?」ではなく、
「今日も怖がらずにできたね」と声をかけること。

その優しい言葉が、モルモットにとっていちばんのご褒美になります。
あなたの声と手の温もりが、モルモットに“安心の記憶”として残るように――。

ゆっくり、少しずつ、ふたりのペースで進んでいきましょう。

被毛ケア(ブラッシング)

なぜブラッシングが必要?

モルモットは自分で毛づくろい(グルーミング)をしますが、その際に抜け毛を飲み込んでしまいます。猫などと違い、モルモットは毛を吐き出すことができないため、体内に毛が溜まって「毛球症」という病気になる危険性があります。
定期的なブラッシングは、この毛球症を防ぐだけでなく、皮膚の血行を促進し、フケやダニといった皮膚トラブルの早期発見にも繋がります。また、体に触られることに慣れてもらうことで、動物病院での診察もスムーズになるというメリットもあります。

ブラッシングの頻度

短毛種: 1~2週間に1回程度。春と秋の換毛期(ペットの飼育環境下では不定期になることもあります)は、抜け毛が増えるため2~3日に1回が目安です。
長毛種: 毛が絡まりやすく毛玉ができやすいため、毎日のブラッシングが理想です。長毛種は丁寧なケアが必要なため、上級者向けの品種とも言えます。

ブラッシングの仕方

膝の上にタオルなどを敷き、モルモットを乗せて優しく声をかけながら始めましょう。ブラッシングの際は、皮膚の状態だけでなく、爪の長さや耳・目の汚れなど、全身の健康状態をチェックする絶好の機会です。

  • 短毛種の場合:
    ラバーブラシや獣毛ブラシで、毛の流れに沿って優しくブラッシングします。毛が汚れている箇所は、固く絞った濡れタオルで拭いてあげましょう。
  • 長毛種の場合:
    1. まず目の粗いコームで、毛のもつれや絡まりを優しくほぐします。
    2. 湿気や汚れで毛玉ができていたら、まずは指で優しくほぐします。どうしても取れない場合は、皮膚を傷つけないよう細心の注意を払い、ハサミでカットします。毛玉の放置は皮膚病の原因になります。
    3. 毛のもつれがなくなったら、柔らかい毛のブラシで仕上げます。
    4. 長毛種は、お腹やお尻周りの毛が床について汚れやすいです。衛生を保つため、これらの部分の毛を定期的に少し短くカットしてあげるのも良い方法です。

【ポイント】嫌がる時の対処法
モルモットは、お尻周りを触られるのを嫌がる子が多いです。ブラッシング中に「ブルブル」と喉を鳴らしたり、体を震わせたりするのは不快感のサイン。無理強いせず、その日は中断しましょう。少しずつ慣らしていくことで、やがてブラッシングが気持ちの良いことだと理解し、じっとしてくれるようになります。

入浴(お風呂)の基本方針

入浴は“必要時のみ”が原則です。まずは蒸しタオル拭きで十分きれいになります。どうしても取れない汚れがあるときだけ、37〜38℃のぬるま湯で短時間の部分洗いを。モルモットは皮膚が薄く乾燥しやすいため、頻繁な全身洗いは不要です。
乾燥はタオルでの吸水→室内自然乾燥が基本。ドライヤーを使う場合は50cm以上離し、冷風と温風を交互に、手の甲で温度を確認しながら短時間で。入浴前は食欲・体温・下痢/くしゃみ・足裏をチェックし、妊娠・授乳・高齢・回復期の子は避けてください。

くわしい安全手順・NG例はモルモットの入浴(お風呂)完全ガイド|頻度・温度・乾かし方・NG例へ

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