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お迎え先の選び方|ペットショップ・ブリーダー・里親

モルモットを家族に迎えると決めたら、次はいよいよ運命の子との出会いの場探しです。お迎え先にはそれぞれ特徴があり、焦らず慎重に選ぶことが、その後の長い付き合いの第一歩となります。ここでは代表的なお迎え先を解説し、元気で自分に合った子を見つけるための具体的なチェックポイントをご紹介します。

💡この記事でわかること
  • ペットショップ、ブリーダー、里親といったお迎え先ごとのメリット・注意点が比較検討できる
  • 元気で健康な子を見分けるための、具体的な健康チェックリストが手に入る
  • モルモットの本来の性格を知るための最適な訪問時間や、後悔しないための店選びのコツがわかる
  • お迎え直後の病気リスクを減らすための、非常に重要な観察ポイントがわかる
  • オス・メスの見分け方や、お迎え後すぐに行うべき最初の健康ケアなど、迎えた後のトラブルを防ぐ知識が身につく
目次

納得のいく出会いのために

後悔しない子選びのためには、いくつか心構えがあります。

夕方以降の時間帯がおすすめ

モルモットは夜行性に近いため、昼間は寝ていたり、おとなしくしていることがほとんどです。彼らが活発に動き始める夕方以降の時間帯に訪れると、その子の本来の性格や元気な様子を観察しやすくなります。

夕方〜夜の食事前(17時〜19時ごろ) に見に行くと、
・牧草を食べる勢い
・ケージ内での動きの速さ
・鳴き声の種類

など、その子の“本来の姿”を観察しやすくなります。

複数の選択肢を検討する

「一目惚れ」で決めるのも悪くありません。
しかし、店舗やブリーダー、保護団体によって環境が大きく違います。

もし可能であれば1か所だけで判断せず、いくつかのお店や施設を回ってみましょう。入荷のタイミングや環境によって、出会えるモルモットたちの個性は様々です。清潔さ、匂い、店員の対応、個体の毛並み――これら複数を比較することで「本当に信頼できる場所」が浮かび上がり、より自分との相性が良い子を見つけやすくなります。

同じ品種でも育て方によって性格傾向が変わります。
たとえば、幼いころから人の声を聞いて育った子は、人懐っこく育ちやすいです。
環境音や人の出入りに慣れているかどうかも観察ポイントです。

一度で決めずに、何度か足を運ぶ

「この子だ!」という直感も大切ですが、一度で決断せずに何度か通ってみることをお勧めします。日によってコンディションや気分も違うため、複数回様子を見ることで、より深くその子を理解することができます。

初対面で元気でも、翌日に体調が急変するケースもあります。
2〜3日あけて再訪すると、
・動きのリズムが安定しているか
・毛艶や目の輝きが保たれているか
・他の子との関係が良好か
が分かります。

小動物、特にモルモットは、輸送や環境の変化といったストレスが引き金となり、潜伏していた感染症(特に呼吸器系疾患など)が数日経ってから発症することが少なくありません。初日に元気そうに見えても、数日後にくしゃみや鼻水が出始めるケースは、残念ながら珍しくありません。複数回通うことは、その子の性格を見極めるだけでなく、お迎え直後に高額な医療費がかかるリスクを減らすための、非常に賢明な自己防衛策でもあるのです。

「数日観察しても印象が変わらない子」こそ、本当に健康で落ち着いた子です。

お迎え先の種類と特徴

ペットショップ

最も身近なお迎え先です。店員と直接会話ができ、様々な品種や毛色の子に出会える可能性があり、飼育に必要なグッズも一緒に揃えられるのがメリットです。知識豊富な店員さんがいれば、飼育に関するアドバイスをもらえます。お店に希望の品種を取り寄せてもらう相談ができる場合もあります。

メリット

  • 品種・毛色のバリエーションが多い
  • 初心者でも飼育相談がしやすい
  • すぐに連れて帰れる手軽さ

注意点(ここが誤解されやすい)

  • 店舗によって飼育温度や衛生管理に差がある
  • 一時的なストレスで「静かすぎる」「鳴かない」などの反応を見せることがある
  • 店員全員が小動物専門とは限らず、知識にムラがある

【確認すべきポイント】

  • ケージ内の温度・湿度計が設置されているか
  • 水入れに清潔な水が入っているか
  • 糞尿の匂いが強くないか(換気・掃除の頻度の目安)
  • 牧草が新鮮で青々としているか(カビ臭い牧草はNG)
  • 床材の種類と状態:床が金網のままになっていないか(足裏の健康を軽視している可能性があります)。床材が湿っていたり、糞で汚れすぎていたりしないか。
  • 同居している頭数:小さなスペースに過密状態で飼育されていないか(ストレスや感染症のリスクが高まります)。
  • 販売されているペレットの種類:モルモットフードとして、質の低いミックスフード(穀物や色のついたフレークが多いもの)ではなく、アルファルファ主体またはチモシー主体の良質なペレットが与えられているか。

補足
「抱っこしてみますか?」と勧められても、最初の訪問では抱っこは控え、観察にとどめるのが賢明です。理由は二つあります。

  • 衛生面のリスク:複数の来客が触れる店舗では、ダニや真菌などの交差感染リスクが上がります。
  • 判断のブレ:抱っこをすると“この子を飼いたい”という気持ちが先行し、「焦らず・慎重に」という基本姿勢が揺らぎやすくなります(可愛さバイアス/コミットメント効果)。
    おすすめの流れ
  • 1〜2回目の来店:観察のみ(夕方〜夜の活動性、食べ方、呼吸、毛並み、店の管理状態をチェック)
  • 3回目以降:抱っこは短時間・最小限に。香料なしの手で、保定は店員に任せて安全に。
    複数回通っても印象が安定していれば、長期的に健康で落ち着いた子である可能性が高いと判断できます。

ブリーダー

特定の品種を専門に繁殖している専門家です。親モルモットの情報を知ることができ、生まれたときからの生育環境がしっかりしているため、健康で性格の良い子に出会いやすいのが特徴です。その子の性格や癖などを詳しく教えてもらえること、直接ブリーダーから飼育のアドバイスを受けられるのも大きなメリットです。

メリット

  • 親モルモットを直接見られる(遺伝的傾向が分かる)
  • 幼少期からの飼育環境が整っており、健康個体が多い
  • 社会化が進んでいる(人の手に慣れている)
  • 飼育アドバイスを直接受けられる

注意点

  • 販売業登録(動物取扱業の許可)を持っているか確認
  • 写真だけでの取引は避け、現地を見学
  • 複数の品種を同時に繁殖している場合は衛生・隔離状況を要確認
  • 見学時に、バックヤード(繁殖施設)を快く見せてくれるか。見せることを渋ったり、特定の部屋しか見せなかったりする場合は、衛生管理や飼育環境に問題を抱えている可能性があります。誠実なブリーダーは、自身の飼育環境に誇りを持っているものです。

【補足】
良いブリーダーほど「どういう環境で飼いますか?」「家族構成は?」などと質問をしてきます。
それは、「その子を幸せにできるか」を確かめているのです。

里親

動物愛護団体や保護施設、または個人から、様々な事情で飼えなくなったモルモットを引き取ります。新しい家族を待つモルモットに安住の地を提供できる、非常に意義のあるお迎え方です。

特徴: 大人のモルモットも多く、性格がある程度わかっている状態で迎えられるメリットがあります。団体によっては、病気の治療や不妊去勢手術を行ってくれている場合もあります。里親希望者に対して飼育指導をしてくれる団体も多くあります。

注意点

  • 保護の経緯により、臆病・トラウマを持つ個体もいる
  • 医療費や飼育用品の一部負担を求められることがある
  • 家族構成や住宅環境など、譲渡条件が設けられている場合がある

大学・研究機関からの譲渡

近年、大学や医療系研究所でも「実験動物のリホーム(再譲渡)」の取り組みが進んでいます。
一般にはまだ少数ですが、動物福祉の観点から非常に価値のある選択です。関心のある方は近隣の大学の農獣医学部や医学部に問い合わせてみるのも一つの方法です。

ただし、譲渡される個体は特定の系統(例:アルビノなど)に偏る傾向があり、必ずしも常時募集があるわけではありません。また、実験内容によっては特殊なケアが必要な場合も考えられるため、譲渡条件をよく確認する必要があります。

【補足】
大学の獣医学部・農学部などに問い合わせると、譲渡制度があるか教えてもらえます。
医学的に健康管理が徹底されている個体も多く、良好な選択肢の一つです。

元気な子を選ぶための健康チェックリスト

お迎えする子を決める際は、以下のポイントをしっかり観察しましょう。

  • 体格・動き: 元気に動き回っているか。痩せすぎていたり、逆に太りすぎていないか。
  • 被毛: 毛並みが良く、艶があるか。毛玉や脱毛している部分はないか。フケが多くないか。
  • 目: 目やにがなく、キラキラと輝いているか。
  • 耳: 汚れたり、嫌な臭いがしたりしていないか。
  • 鼻: 鼻水が出ていないか。
  • 歯: 歯が伸びすぎていたり、噛み合わせがおかしくないか。口の周りがよだれで汚れていないか。
  • お尻周り: 排泄物で汚れていないか。(下痢の可能性)
  • その他: 同じケージ内に体調の悪そうな子がいないか。
  • 呼吸の様子:呼吸が速くないか。お腹だけでなく胸も大きく動かして、苦しそうに呼吸(努力性呼吸)していないか。鼻の周りがヒクヒクと大きく動いていないか。
  • 歩き方:足を引きずっていないか。体を傾けて歩いていないか(耳の感染症などを疑う場合があります)。
  • 同じケージ内に体調の悪そうな子がいないか:(重要)同じケージ内に一頭でも体調の悪い子がいる場合、他の子もすでに感染している(潜伏期間中である)可能性が非常に高いです。そのケージからの導入は、残念ですが見送るのが最も安全な選択です。

オスとメスの見分け方

幼いモルモットの性別は、素人では非常に難しい判断です。ペットショップでも稀に間違われることがあります。不安な場合は、お迎え後に動物病院で確認してもらうと確実ですが、基本的な見分け方は以下の通りです。

  • 生殖器の形: メスは生殖器の開口部がY字のような形をしています。オスはi字のような形で、軽く押すと陰茎が出てきます。
  • フンの形: 一般的に、メスのフンは米粒のような俵型、オスのフンは少しカーブしたバナナ型と言われています。

【補足】
判別時に強く押すと内臓を痛める恐れがあるため、無理は禁物です。
不安なら購入後に動物病院で性別を確認しましょう。

初対面時の注意点と性別の確認

モルモットは臆病な動物です。いきなり触ろうとせず、まずは優しく声をかけながら様子を見ましょう。可能であれば、店員さんの許可を得てそっと抱っこさせてもらい、性格や相性を確認するのも良い方法です。
また、幼いモルモットは雌雄の判断が難しく、ペットショップでも稀に間違われることがあります。オスと聞いて迎えたらメスで、先住の子と繁殖してしまったというケースも。不安な場合は、お迎え後に動物病院で確認してもらうと確実です。

見るべきポイント

  • 他の子と比べて極端に動きが少なくないか
  • ケージの角に隠れたまま出てこないか
  • 人が近づいたときの反応(怯える/静観/好奇心を見せる)

“怖がり=性格が悪い”ではありません。
慎重な子ほど、慣れた後は深い信頼関係を築ける傾向があります。

触るときの注意

  • 必ず店員の許可を得る
  • 触る前に手を洗い、香料を落とす
  • 背中ではなく胸の下からゆっくり手を入れる(抱き方は後頭部を支えない)

よくあるトラブルと防ぐ方法

トラブル原因防ぐ方法
オスとメスを間違えて繁殖幼齢期は判別が難しい動物病院で性別確認をする
迎えた直後に下痢環境ストレス・餌の違い牧草を前環境と同じものに。温度変化に注意
急に鳴かなくなったストレス・警戒1週間は触らず、静かな環境を保つ
体を掻き続けるダニ・真菌感染他個体と同居前に健康診断を行う

お迎え後に行うべき最初の健康ケア

お迎えしたら、まずは先住のペットとは隔離された静かな部屋で、新しい環境に慣れさせましょう。そして、元気そうに見えても、1〜2週間以内に必ずエキゾチックアニマルの診療が可能な動物病院で健康診断を受けてください。 これには、寄生虫(ダニなど)のチェック、糞便検査、そしてお店で間違われている可能性のある性別の確定診断が含まれます。この『お迎え健診』が、その後の健康な暮らしの土台となります。

参考リンク:お迎え後の過ごし方
モルモットを迎えた直後の1週間は、健康チェックだけでなく「安心の環境づくり」が最も大切な期間です。

体調管理と心のケアの両方を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

お迎え初日からの1週間|緊張をほぐす接し方ガイド

この記事では、

  • 初日の静かな過ごし方
  • 飼い主が先に“慣れる”という心構え
  • 食欲や排泄のチェックポイント
  • 最初の抱っこタイミングの見極め方
  • などを、日ごとのステップ形式で解説しています。

などを、日ごとのステップ形式で解説しています。

お迎え後の「体と心の健康ケア」を両立させたいときに最適な内容です。

メッセージ:出会いの“責任”と“希望”

モルモットを迎えるということは、
「この命を最後まで守り抜く」という約束でもあります。

小動物は、声を上げて助けを求めることができません。
だからこそ、飼い主が最初に正しい情報を選び、正しい場所から迎えることが、
命を守る第一歩になります。

どの子を選ぶかよりも、
「どんな環境から迎えるか」「その子がどんな背景で育ったか」を大切にしてください。

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